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夏蜜柑(なつみかん)
彼らは近くの密林で動物や鳥を狩りをしながら森の中を歩き、定住するのによさそうな場所を探していました。 眺めのよい場所を見つけて大きな木の下で休んでいるとカラスの声が響き渡りました。 カラスは凶兆なのでカラスの鳴く場所は避けて、あちこち見て回りました。 そしてとうとう定住するのにふさわしい場所を見つけました。 そこでは、三色の羽のカワセミがつがいでさえずっていたので、素晴らしい吉兆だとして3人はそこに住むことに決めました。 そして小さな村ができました。その村の真ん中にルクバン(夏みかん)の木が育っていたので、地名をルクバンと名付けました。
18世紀初頭に、山口県長門市の青海島(おうみじま)の海岸で西本於長(にしもとちょう)さんという女の子が、漂着した大きなミカンのような実を拾いました。 彼女はその実を持ち帰って種をまき、大きな美しい実を実らせました。 これが夏みかんのはじまり(原樹)です。 大日比(おおひび)の海岸に近い西本家邸内に1本だけ残る夏みかんの原樹は、天然記念物に指定されています。
タクシー運転手の松井さんは、田舎のお母さんが届けてくれた夏みかんを車にのせて運転していました。松井さんは、子供用の白い帽子に気付き、忘れ物だと思って持ち上げた途端、中から蝶が舞いあがりました。子供がつかまえておいた蝶を逃がしてしまったことに気付いた松井さんは、子供ががっかりしないように、かわりに夏みかんを入れておきました。 ちなみに、あまんきみこさんは対談の中で、松井さんが乗せた少女がその時の蝶だったのか、夢だったのかは、読んだ人の思う通りでいいと言っていました。主人公は、教科書では「松井さん」としか出ていませんが、「松井五郎」という名前です。
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